セッションからの提言、提出!

4月22日、セッションからの提言として、京都市に提出いたしました!


提出のあと、40分ほど、自転車談義。
当日の模様は、京都新聞さんでも掲載されました。
後日、KBS京都さんが自転車に関するテーマで特集を組まれるそうです。

提言内容は、こちらから(メンバーのたにちゅーさんのブログにリンク!)PDFでご覧いただけます。

第7回のダイジェスト(2)

■プレゼンテーション2
「さまざまな自転車カルチャーが存在する街・京都」
谷本 新(店舗企画・広報・コンサルタント
沢田 眉香子(フリーの編集・著述業)
竹中 聡(月刊「京都CF!」編集長)

(谷本氏)
・資料の表紙の絵。歩行者が信号を無視して渡っていて,自転車と車が事故って車が怒っているというまさに京都の交通事情にぴったりの絵である。
・子どもの頃から自転車が大好きで色を替えたり,パーツを替えたりで改造を楽しんでいた。
・20歳のときに雑誌がきっかけで所ジョージさんの目にとまり,これがきっかけで本格的にカスタムをするようになった。大学のときに自転車好きの友人と「cyclove508」というカスタム自転車クラブを結成。2002年に「こちゃり部TSUBAME」を結成。女の子中心の自転車クラブでファッション的な視点からかわいくておしゃれな自転車に乗りたいということを実践。
・フジサイクルのタンデム。2人乗り。公道で2人で乗れない。
 60〜70年代のラレー。ダークなカラーリング
 20歳のときの自転車。花柄に凝っていた。4色の花柄を4回マスキングして塗装した。タイヤとホイールも換えている。
 みかんと名づけた今乗っている自転車。マンションの駐輪場が狭いので部屋にもって上っている。京都の街を移動する際にはこれで十分である。
・カスタムをしていると,雑誌から取材依頼が来るようになった。「Lightning」で今年の夏に「チャリカスタム俺の流儀」でカスタムは楽しいという提案をした。
「自転車人」という雑誌で自転車に関係のある人ということで掲載された。持っている自転車を全部載せた。
・自宅にはすぐ乗れる自転車が17台ある。住宅情報誌の記事ではこんな変わった人がいますという感じの取材であった。
・雑誌の仕事が来るようになった。2001年の「Meets」。変わった自転車に乗っている友人を紹介した。
・本日来ている沢田さんが編集長をされていた雑誌の自転車特集の記事。カスタムアーチストとして紹介された。クリティカル・マス,実用車の特集,ライダーの自転車をカスタムしてかっこよくする企画,カスタムの工程,パーツ紹介,ヘルメット,ウェアなどアイテム紹介。
 今では当たり前であるが,当時は自転車雑誌でない雑誌にこういう特集は画期的な企画であった。
・このような活動をしているうちに,いろんな濃い自転車好きの方と出会った。タクヤさんは京都で一番の自転車好きで京都の自転車カルチャーにこの人ありというほど全国的に知られた人である。
 タクヤさんは現在,自転車映画祭というイベントに力を入れておられる。これは自転車に関する映画や映像を世界から集めて紹介しようというイベントである。
タクヤさんと97年にクリティカル・マスというサイクリストによる市民運動を始めた。これは1992年にサンフランシスコで始まった。日本では京都が最初であった。京都大学で交通問題を研究している小山さんという方が始めた。当初は告知もなしに車道の真ん中を一人で走っているという状況であったが,せっかくの運動だということでタクヤさんが発起人となり97年8月に正式に立ち上げた。やり方について研究を行い,その年末に行ったライドが日本で初めてのクリティカル・ライドとなった。半年遅れて東京でも行われた。大阪,神戸,名古屋にも運動を広げて全国規模の運動となった。
 自転車通行禁止に抗議して四条通をふさいで走っている。旗には道路を共有しようというメッセージ。環境問題,交通問題,自転車好きの人いろんな思いの人が参加した。テレビに出演してPRもした。
・しかしながら,四条通などの走行は非合法であり,規模が大きくなるにつれて車とのトラブルも多発。ゲリラ的な活動に限界を感じはじめた。
 何か情報発信する拠点が必要である。2000年10月15日に世界初のクリティカル・マスのカフェが誕生した。
 カフェ・ルゴール。自転車に特化した店作り。入口を1.5mセットバックして駐輪スペース設置,自転車スタンド設置,自転車をキーワードにしたイベント,アート作家とのコラボによる展覧会の開催。
 おしゃれ系カフェとしては,おそらく京都で初めてのバリアフリーカフェ。バリアフリーをおしゃれに見せることで普及につながればと思った。さまざまな雑誌に取り上げられた。オープンして2年で150くらいの本から取材を受けた。社会的な注目,新聞にも取り上げられた。
・ルゴールの新たな試みとして,お客様サービスの一環でレンタサイクルを始めた。食事の後に利用してもらおうというもの。カフェなので深夜でも返却できる。カフェっぽい感じのかわいい自転車。サドル,グリップもおしゃれなものに替えている。ズボン,スカート巻き込み防止のガードを特注で作っている。
・提案として,将来的にレンタサイクルをするカフェが増えたら,いくつかの店で連携して駐輪スペースを提供しあうようなことができれば理想的なレンタサイクルのシステムが出来上がるのではないか。
 全てを行政や他人任せにしてしまうのではなく,個人レベルでもできることがあるはず。自分のできることから始めていくことが大事なのでは。
・やってきたことが必ずしもよかったとは思っていないが,少なくとも何かを変えなければと思ってこれまで活動してきた。飲食業者であるが,そういう活動のお陰でメディアにも注目していただき,取材してもらえるきっかけとなった。
 京都のまちには個人レベルで活動している人間がたくさんいる。ひとくくりに自転車といっても様々なジャンルで活動している人間がいるということを知ってほしい。そういう人々の活動によって自転車文化が育っていることを誇りに思ってほしい。
 自転車環境が整ったまちというには,駐輪場や走行環境などのハード整備は大事であるが,箱物だけを整えても,そこに住む人間が伴わなければ本当の意味での自転車都市にはならない。文化を熟成させないと全国から注目されない。

(沢田氏)
・15年前に京都に引っ越してきた。一番ショックだったのが自転車カルチャー。実用車に乗った魚屋さんなど自転車のまちという印象。2001年のLマガジンで特集をした。普通の情報誌でまるごと一冊特集するなどあまりないこと。しかし,売れずに大阪と京都での意識が違うと実感した。 
・折りたたみ式自転車を買って京阪電車で京都,大阪を行き来し,自転車に乗っている。自転車に乗ろうという地道な宣伝活動。
・京都の自転車に対する注目度は東京の媒体でも高まっている。女性誌での自転車観光やレンタサイクルの情報を掲載することがいわれる。タクシーより自分の足で見たいという欲求がある。東京でも京都に遅れること10年でおしゃれ自転車がブームである。
・京都は文化が生まれる場所である。なぜなら自転車都市であるから。学生が自転車に乗って研究室やアトリエに移動できる。自転車で移動できるコンパクトなまちで,24時間アトリエに往き来するのに,自転車が重要な役割を果たしている。夜10時の百万遍はママチャリの学生がガンガン自転車で往き来している。これが京都,文化が生まれるまちである。
京都市へのお願い。若者文化の大動脈である自転車を撤去しないでほしい。有料駐輪場もできているが,若者はお金がない。自由に停められるまちづくりをしてくれないと若者文化が衰退していく。

(竹中氏)
・京都CFは総合情報誌。9月に自転車の特集を行った。京都にどんなウェーブが来ているのか,毎月の取材でいろんな情報が入ってくる。自転車特集は,医療で言うと対症療法で,何か動きがないとしない。自転車は少しそのようなにおいがあった。
・最近になって,居酒屋とか美容室の人がいい自転車に乗っている。特集する機が熟したか。自転車をどう取り上げるか。消費情報を出して消費を促し,経済効果を生む。しかしそれだけではだめ。京都の自転車カルチャーは高い。まちと付き合っていると自転車についてわかってくる。
・まち中の有名な旅館のお上さんに,自転車何とかしてほしいといわれた。京都は国際都市である。オランダ人の宿泊客が,自転車に殺されかけたと言っていたということである。京都はオランダほど自転車に対するルールがなっていない。これは言わないといけない。消費にはつながらないが,メディアの役割として伝えていく必要がある。総合情報誌であるから,オブザーバーのような感じでこんな話,あんな話を聞いて,みんな自転車に乗っているということを伝えるのが仕事であるということで9月に出した。
・結局これが消費を促す。自転車に乗りましょう,買いましょう,ルールを忘れず乗りましょう。我々が作っているのは流行やブーム。これが成熟してカルチャーとなる。我々の役目としてこれからもことあることに自転車に触れていく。
・メディアとしての功罪もある。広めていく反面,偏った紹介のされ方をしている。高額でハイスペックなものに偏っている。ハイスペックなのもを乗りこなす技量,熟練がないから事故が起こる。これが弊害である。
・何が必要か。2つ。道路交通法を根本的に変える必要。現在は弱者保護になっている。根本的に変えないと自転車に安心して乗れない。法律が変わると保険が変わる。自動車保険が変わるとシステムも変わる。信号無視をして引かれても文句が言えなくなる。
 京都は職人のまちである。乗りたい自転車がないということであったが,谷本さんの自転車は乗りたいと思うのではないか。こういう人たちが作りやすいサポートが必要である。一人の職人からカルチャーが生まれる。
・ウイルスの話が出たが,これが強いことを祈りたい。自転車については生命力の強いウイルスであることを期待する。

(谷本氏)
・メディアも京都の自転車シーンに注目している。京都市もこれを利用しない手はない。広報に役立ててほしい。自転車政策課での活動もメディアを使って広げてもらいたい。

■コアメンバーからの意見・提案[その2]
○京都はなぜ自転車文化のメッカなのか。まちに特性があるのか。谷本さんのような人がいるからなのか。
○移動距離が短いという立地,学生が多い,アート系の学校など自転車カルチャーが育ちやすい環境。タクヤさんのような人の存在。ベロタクシーメッセンジャーができたのも彼の存在が大きい。彼を軸にしたキーパーソンが情報交換するという狭いコミュニティがあるのも自転車文化が育まれたきっかけである。
ゆとり教育を受けた人は自転車に乗る人が多い。文部科学省ゆとり教育で自転車型の教育というのがある。これを受けた人は将来みんな自転車に乗り出す。そこで京都市へのお願いで,それまでに自転車道を整備してほしい。駐輪場もあちこちに増やしてほしい。がんばって自転車都市を作ってください。
〜〜〜
山崎副市長
セッションも最終回となりまとめをしなければなりません。年明けに何度か集まる機会をもって,京都市京都市長への提言として意見をまとめたいと思います。半年にわたるご協力ありがとうございました。傍聴の方もお寒い中ありがとうございました。7回にわたったセッションを終了させていただきます。

第7回のダイジェスト

■プレゼンテーション 
「おしゃれな自転車環境」赤城夫婦(作家)

・ファッションビジネに10年以上かかわった関係から,口コミということと一緒に考えていく。
シャンパンタワーの法則。これまでのセッションの中で自転車の高単価化をしないと放置自転車が発生したり,自転車への愛着を感じないということであった。一番上が自転車への愛着ということで,愛着の湧くような自転車なら女性の間で口コミが起こる。そして環境整備,法整備があり,それが習慣化,文化になっていく。環境整備,法整備は専門の方がお話されたので,上の部分で自転車への愛着,口コミがどのように起こるのかについてお話したい。
・自転車に関する本音で,このセッションに出て途中から肩身の狭い気持ちになった。高い自転車を大事に使っていこうということであったが,高くてもほしい自転車がない。高い自転車なら違法駐輪がなくなるということであるが,ほしい自転車がないから,1万円くらいで実用的なもので十分かと思ってしまう。
・どんな自転車がほしいか。世界に愛される「カワイイ」が表現された自転車がない。スポーティ過ぎる。シンプル,地味,実用的過ぎる。特別感がないなど高い単価を払ってでもほしいものがない。
・「カワイイ」ってどんなことか。キラキラ,リボン,コサージュ,キャラクター,縮小化,カラフル,セクシーなど,日本文化独自の世界の人々から注目されているものがパーツやデザインに組み込まれたものがない。
・「カワイイ」の導入で新たに活性化しているスポーツ市場として,乗馬とゴルフにおけるアメリカの市場。ピンク色の乗馬服やショートパンツ,ゴルフウェアでもミニスカートやショートパンツ,キラキラのボールやキティちゃんのピンなど。
・ゴルフ雑誌の場合,従来は本格的な感じであったが,「カワイイ」というのは格好から入るので,ファッション雑誌と同じような表紙や商品になる。
・自転車にこういう雑誌があるか。エコ過ぎる。シンプルで地味。マニアック,スポーティ過ぎる,可愛くない,セクシーでもない。特別感がないのでお金を掛けようというものがない。
・「カワイイ」が作った新しい市場。ネイル,デコ,姫文化,ゴスロリ,パンスト
・タイツ市場,アート,東京カワイイTV,雑誌「カワイイ」,「小悪魔ageha」など。従来の浴衣とは全く違う発想の浴衣など,海外からも買いに来ている
・ 世界から愛される「カワイイ」文化として有名なのはデコ電。あとデコデジカメ,デコipod,デコ名刺入れ,デコペン,デコ鏡キラキラしたものが波及している。
・ 世界中のヒットも「カワイイ」がベースになってヒットしているものがある。映画の興行収入コメディ部門で1位となった「SEX AND THE CITY」。その他世界中で支持される「カワイイ」として「キューティブロンド」という映画がある。関連グッズもいろんな物がたくさん売れた。
・ウォルトディズニーの映画でお姫様が出てくるもの,ヘアスプレーでもキラキラしたもの,花王は「かわいいをつくる.com」を持っている。
・「カワイイ」好きの有名人。浜崎あゆみ,キャメロンディアス,パリス・ヒルトン,パトリシア
・愛着度とは,高単価化することが必要であると,このセッションでも何回か出てきた。撤去されても取りに行かない,放置してもまあいいかと思わないような高単価の自転車でなければ愛着が湧かない。しかしながら,高単価の自転車はスポーティで本格的過ぎる。愛着をどうやって増やしていくか。高単価である,カスタマイズ化,手作りが出来る,自己表現のツールだけでなく,ファッションの一部になる必要がある。ファッションの一部になると新しい市場が誕生する,新しい市場が誕生すると新しいテクノロジーが誕生する。
・実際に起こった事例としてネイルの場合。普通の爪は0円だったのが,ネイルを塗るということで100円〜3000円かかるようになる。さらに自分で手入れ,デコレーションすることで1000円〜1万円がかかり,サロンでするようになると1万円〜5万円がかかる。0円から毎月,個人が数万円使う新しい市場が誕生。さらに,スカルプチャーやジェルネイルなど新しいテクノロジーが誕生する。スクールが創立され,認定制度化される。定期的にイベントが開催され,専門雑誌が発売され,口コミがどんどん広がって新しい文化,市場が根付いていく。
・愛用者も芸能人,モデル,女子プロ,女子高生,女子大生,OL,主婦まで。
・市場の拡大化・多様化で男性市場もできている。個人サロンから全国チェーン,海外チェーン,美容室,エステサロンでの併設など多様化してきている。ネイルが常識化している。
・ネイルに関連するものとして,下地,トップコート,ハンドクリーム、爪やすり,キューティクルを保護するもの,乾燥機やクリップ,パウダーなど関連する新しい商品もできた。
・なぜ自転車には「カワイイ」がないのか。かわいい商品を探してみたがなかった。キラキラした自転車など見たことがない。ラインストーン,リボン,コサージュ,パール,バタフライ・テディベア,セクシー,モチーフ,カラーバリエーションでカスタマイズできる自転車は見たことがない。
・自転車のタイヤやボディがキラキラだったらというイメージであるが,自転車はパーツが大きいので大きいラインストーンが必要であったり,専用の器具が必要であるから誰もする人がいない。パイプの部分も丸くなっていてラインストーンがうまく付かないので,デザインを変えることが必要である。メーターやライト,ハンドルをデコしてもよい。
・色に関しても,カラフルで遊び心があってもよい。ハンドルにレースがつけられるなどロマンティックな自転車もない。
・カスタマイズできる自転車も本格的なものしかない。パールやリボンが付けられるものがない。ちょっとゴージャスな自転車も見当たらない。金や黒など取り入れたシックな,気持ちゴージャスな自転車があってもよい。ちょっとセクシーなものも。これまでスポーティなウェアしかなかった。タイヤをカラフルにするなど,形から入ってもよいのでは。
・順番として,カワイイ自転車なら高くてもOKという発想。そして口コミが起こる。カワイイ駐輪場なら停めたくなる。新しい文化が男性へも浸透していく。日本の男性もカワイイが好きである。
・口コミが起こる条件とは,タブー,一風変わったこと,突飛なこと,おもしろおかしいこと,ずば抜けていること,秘密など。
・自転車環境について,駐輪場や道路をどうするかについて話が出たが,関心を持ちたくなるとか,口コミが起こる土壌がない。一風変わっていたり,突飛であったり,おもしろおかしいものなどがない。
・カワイイ駐輪場とは,カラフルな駐輪場,デコレーションされた駐輪場,アニメやキャラクター化された駐輪場。上からアニメのキャラクターがぶら下がっていると子どもは喜んで停めに来る。カラフルな駐輪場は犯罪の抑止力になる。新しい,風変わりな,突飛な駐輪場であれば口コミが起こり,ニュースになる。そして観光名所になるような駐輪場になる。
・結論として,新しいニーズに応える。新しい発想で,新しい商品を作る。新しい市場ができれば,新しい文化ができる。日本発の「カワイイ」を普及していってはどうか。
マインドマップ。自転車は観光客や買い物客に便利。スタンプを貯めてドリンクがもらえる,ポイントをためて動物園などに入れる,神社仏閣のお守りが安く買えるなど,口コミを広げるには,ブログやホームページで書きたくなるようなネタを提供することが必要。

■コアメンバーからの意見・提案[その1]
○世界的に自転車は実用的な乗り物として使われている。日本では実用性を追及するあまり,自転車の大きさは幅60cm,長さ190cmというように法律で規定されている。他国では2人乗りの実用性と遊びを兼ねた自転車が乗られている。自転車の認識を高める上で,女性,若い人,高齢者は男性よりも高い力があるかもしれない。
○実用的でなくなるとまずい。生活できないとだめである。ベルをダイヤモンドのクリスタルカットにしたり,ハンドルがもこもこして暖かいとか,車輪にカバーのようなものをつけて回ると違う感じになるとか,個人的にそんな自転車ならほしい。
○アニメ好きな人が,ロボットの絵などを書いているのがサブカルチャーとして東京から出てきている。
○子ども向けではなく,子どもっぽくならない大人向けの,大人っぽいけどかわいいというのがあればよい。例えばピンクの自転車なら全部ピンクでなく,黒とかパープルを取り入れて,大人っぽいがかわいいという自転車。世界で見たことがないので,日本で作れば海外にも売れるかも。
○19世紀中期に自転車の原型が出てきた。イギリスのローバーが設計をした。一番最初に設計されたものが強度,乗り心地もベストとされている。日本のママチャリはまたぎやすいということで画期的であった。パリのレンタサイクルもママチャリをまねている。
○はじめは人の気を引いても,長く使われるものとかすたれないものは本質的によさがある。京都は古いものとか伝統を大事にする文化がある。新しいものの中に,本質的なもの,ぱっと見は華やかで人目を引くが,使っていくうちにいいなと思われるようなものが生まれたらおもしろい。
○学生の間ではミニバイクのシェアが高い。デザインがカワイイものがありカワイイ系の女の子は乗っているが,長い距離は走らない。自分がここまで自転車で来るというと驚かれる。彼女たちに長い時間乗ってもらえるような自転車が必要である。
○ゆかたが復活したのも従来の着方をくずしたことによる。新京極界隈のレトロ系の着物屋も従来のものでなく,洋服っぽい,レトロモダンな感じになっている。京都風といっても古典そのままでなく,わびさびだと地味になってしまう。デートで駐輪場を待ち合わせ場所にしてもよいというような駐輪場になればよい。和の柄を使うにも色を使うとかわいい。
○青天井の簡易型の駐輪場なら,ラックにカワイイが必要。色などをポップでカワイイものにする。天井のある駐輪場ならお寺のような天井画やラックの番号のデザイン,ラック正面の壁をわびさびや生け花するなど,きれいだな,ちゃんと使おうというものがあればよい。わざわざでもそこに行きたいというものが必要。
○美容室のカリスマ美容師に300人の客がついていた。客の中にひめというリーダーがいて友人を連れてきて300人の客がついた。イケていない女の子がつけているカワイイ時計でもひめがつけると,途端にやはり出す。情報発信の役割を果たしている。主婦の中にもひめがいて,おしゃれやカワイイについてアンテナを張っていて,話題性があると口コミが起こる。
○ピンク色やキラキラだけがカワイイ,かっこいい訳ではない。いろんなかっこいいがある。当たり前のものから飛びぬける必要がある。ママチャリや駐輪場は当たり前過ぎる。飾られてもないのに窓が丸くなっていたり,中間色であったり,中途半端である。受け入れざるを得ないというのがいいとは思わない。もっと尖がったものが出てくればよい。当たり前の範囲が広がる。もっとましなものが役所でもできる。メーカーも尖がったものを勇気をもって作ればよいが,大メーカーにはできない。
○ハリウッドの有名人の家を巡るバスツアーのように,京都の駐輪場を見に行くバスツアーができるくらいの駐輪場。ライブハウスの近くならへヴィメタの聖地のような駐輪場,お茶お花などの文化,アニメなどあえてでもそこに行きたいと思うような駐輪場。
自転車神社のようなものを駐輪場に祭って,何とか参りで毎月巡るとか赤い提灯を飾ったりというイメージ。
○尖ったことが大メーカーにできないなら,大会社の京都市にお願いすることになるのか。カワイイ自転車は誰が作るのか。一時期自転車がはやったときにプジョーの自転車に乗っていた友人がいるが,かっこいい感じの自転車が広がればよい。天井からアンパンマンがぶら下がっているような駐輪場は,商標の問題もあり,京都市がやるのは難しいかもしれない。民間が参入しなければならない。民間の駐輪場が1時間300円でアンパンマンがあるという横で,違法駐輪があって撤去されていなければだめなので,このような産業を盛り立てるのと同時に,盛り立てる環境整備を公共でしっかりやることが重要である。
○女性はスカートで自転車に乗れないし,浴衣でも乗れない。京都ならではのソリューションができたらおもしろい。
○今自転車に乗っていない人たちに自転車に乗ってもらう,新しく市場に参入してもらう。そのためにカワイイ自転車を作る。メディアや口コミを起こす人が食いつきたくなるような面白さ,かわいさ。京都は伝統と新しさが一緒になっている。トップカルチャーのコンテンツもパワフルで影響力がある。これからの100年で新しい文化をつくる,京都が発信源になればよい。
○京都で何百年も栄えている店が,新しい店を増やさないのは,待たせる喜びをお客さんに提供するということを聞いた。これが京都商人,文化なのだと痛感した。新しく自転車の文化,自転車を通じて京都を再認識するきっかけにこのセッションがなればよい。

第7回セッション(最終回)のご案内

いよいよセッション最終回!下記の通り開催しますので、お気軽にゼスト御池河原町広場お越し下さい。

第7回
   平成20年12月25日(木) 午後4時〜

①赤城夫婦 「おしゃれな自転車環境」
②コーディネーター 谷本 新
「さまざまな自転車カルチャーが存在する街・京都」
        ゲスト:竹中 聡 氏 ・ 沢田 眉香子 氏

第6回ダイジェスト(2)

プレゼンテーション 
「駅前駐輪場整備と鉄道事業者の役割」
前田 勝(京阪電鉄株式会社 鉄道企画部課長)

・平成16年4月から現職で,駅前の自転車にかかわった仕事をしている。4〜5年間の体験を含めて,個人的な見解として話をする。京阪電車の公式見解ではない。
・今までの鉄道事業者は自転車対策は面倒なもの,かかわりたくないとしてきた。それは道路管理者の仕事であるとしてきた。地元や行政は駅前の自転車は鉄道に乗る人々のものではないのかと言い,我々は自転車の利用者はそれだけではないと言って,責任のなすりつけ合いであった。これでは状況はよくならない
・できることとして啓発ポスターを貼っている。ポスターはいろんなことと抱き合わせでないと効果がないもの。これまで逃げてきたところでもあるが,ほっておいたらどうなるのか。
・駅前に自転車,バイクがいっぱいであると,誰が困るか。街にとってもひどい街だと,鉄道事業者にとっても駅前がひどいと言われ,けが人まで出ることになれば,地元も行政も鉄道事業者も困る。そこで何ができるか。役割を分担してできないか。
鉄道事業者や街にとって,自転車,バイクは迷惑な対象ではない。大切なお客様である。必要な施設をきっちり整備して,ルールを徹底する。できることから考えていく。
・ポスターを作るだけでは効果がなく,少なくとも3つセットが必要。まず,置く場所。これまで駅前に大きな箱物を作って,利用者が少ないという状況であった。駐輪場の利用者は1種類ではない。通勤,通学で長時間停める人,コンビニでの買い物など短時間停める人,場所に応じてどんなニーズがあるかで作るべき施設が変わる。実態,ニーズに合わせる必要がある。
・一番大事なのが違反者へのペナルティーである。ルールを守らない人には撤去もし罰金を取るくらいでもよい。そして,ポスターだけでなく,地元と手を組んで連携して啓発できるか。今まで,社内では駐輪対策と言っていたが,駐輪政策ワーキングと名称を変えて,社内での相談の場を作った。
枚方市の駅前広場は以前,無法地帯で放置と廃棄でひどい状態であった。枚方市が管理している区域は毎日撤去に来ているが,京阪の管理地は撤去されない。民地は撤去に来ないことを皆よく知っている。勝手に撤去して文句,苦情があったら誰が対応するのかということで,手を付けなかった。ほっておくことによるデメリット,苦情に対応するというデメリット,まともに歩けない状況,京阪の駅はひどい状態だと思われることなど考えて,思い切った考えをすることにした。平成17年の夏に100台を近くの保管スペースに撤去し2週間預かった。引取りに来たのは2件だけ。
・JR高槻駅でのうまくいっている事例を参考にした。駅前の店舗前に機械式駐輪施設が設置され2時間無料とされていた。整備されるときっちりと停める習慣ができ,放置をする人が減った。うまくいかなかったことは,周辺の駐輪場と同じ値段の1日200円としたところ,駐輪する人が多すぎて駐輪場が足りなくなり,逆に周辺の駐輪場利用者が減った。
・高槻の事例を参考に,短時間利用者は駅前に停めてもらうということで,90分まで無料,90分を超えると200円にした。枚方市駅近辺の一時預かりは150円で50円安いので,長時間利用者は周辺の駐輪場に停めるだろうと考えた。しかし,ふたを開けると,200円くらいなら近いほうがよいと,たくさんの人が停めに来て収容台数が足りなくなった。そのため今年4月に値上げをした。我々のシステムのよいところは利用状況を見ながら値段を変えることができる。
枚方市の管理区域,ビオルネの管理区域がありそれぞれが駐輪場をもっているが,考え方を統一しようということで,枚方市が中心となって協議会を立ち上げ,料金は異なるが意思統一をしている。
・整備する前は人が通れなかった通路も,真ん中が通路として空いている。バイク,原付も多いので社有地で駐輪場を増設した。
・機械式駐輪場は収容台数171台で,有料利用,無料利用合わせて2.5回転くらいしている。圧倒的に30分以下の利用が多い。コンビニなど短時間での買い物の人は,お金を取ったら駐輪場に置かない。無料にしてルールだけは守ってほしいと考える。
・京阪,枚方市,ビオルネなどで平成16年度以降1000台分を整備した。その結果,駅周辺の放置台数は1300台程度だったものが,300台に減少した。ほぼ整備した台数と同数である。
・他のうまくいった事例として,以前,三条〜五条間には駐輪場がなく放置も多かった。駐輪場用地もない状況であったが,市や地元との議論の中で鴨東駐車場の横の緑地を利用できることになった。建仁寺垣を使うなど風情もあり,見た目にもきれいな駐輪場になり,自転車131台,原付43台が収容できる。最初の60分を無料としている。当初は利用も少なかったが,地元,警察の協力で夜間撤去を行い,駐輪場利用の啓発を行い,今ではバイクは満杯,自転車もほぼ収容台数に達している。祇園四条の駐輪場の特徴として,利用時間のピークが夜7時ころから増えてくるということである。繁華街に近いということからであると考えられる。駐輪場整備を機会に祇園商店街ともつながりが出来,商店街でのぼりやポスターなど掲示してもらったり今後の連携につながった。
出町柳も駅近くに放置が多かったが,19年9月に200台を増設し,通勤通学の長期利用の月極めの増加を図った。三条駅も一般利用できる駐輪場を自転車62台,原付21台分整備したが,利用者が多く今年9月に原付25台分を増設した。
中書島では平成16年に711台分を整備し,通勤通学の利用者が多くなっているが,常に100人が順番待ちということで,平成18年に京都市から土地を借りて131台分を増設した。整備後は放置が半数に減少した。
・料金体系について,寝屋川駅のフレスト前通路に64台の機械式駐輪場を整備した。店に来る人の利便性を図るものであるが,64台分しかなく,駅直下で便利なところであり,長時間利用でなく短時間のみで利用してほしいということで,思い切った料金体系にした。最初の1時間無料,以後8時間ごとに300ずつ加算されていく。利用時間の台数はねらいどおりとなった。
・寝屋川の駅から少し離れたところにある駐輪場は長時間の利用にも対応し,自転車150円,原付250円という普通の料金としたが,利用者が多いので,他の駐輪場に迷惑とならないよう値上げをした。
・樟葉の駅前も放置がひどい状態であったので,164台の駐輪場を整備した。短時間利用向けとし,6時間まで100円,12時間で200円,通勤で12時間以上は300円という料金にした。利用は短時間利用者が多いが中には長時間利用者もある。樟葉駅の周りにも駐輪場はたくさんあるが,駅に近い場所であれば,少々高くても利用する人がいる。
・次に丹波橋を考えている。京都市丹波橋の駐輪場は無料であり,管理費用がないため,無茶苦茶に置かれて,捨てられている自転車などもあり,駐輪スペースを占領しているため,利用する人の自転車があふれ出してしまう。無料であれば,歩いて駅に来れる人でも自転車を利用する。今年度末には整備をしていきたい。
・他にも何箇所か京都市との連携で進めて駐輪場整備を進めていきたいと考えている。


4 コアメンバーからの意見・提案[その2]
○ユーザーや需要に応じた対応は役所では出来ていないところである。うまくいった事例の紹介のなかで,放置されていた自転車はどこへいったのか。
○放置自転車はゼロにならない。おそらくより撤去のゆるいところへ逃げている可能性はある。しかし,収容場所を作って追い込みをかければ,間違いなく放置は減る。枚方のように10分の1になるところや半数しか減らないところもあるが,やらないよりやったほうが,少しずつでも放置が減り,トータル的にはプラスになる。
○失敗事例として,四条の駐輪場はバイクより自転車の収容台数を多くしたが,実際はバイクの利用者が大変多くなった。その経験から三条の駐輪場はバイクを多くしたが,三条は逆に自転車の利用者のほうが多いということになり,ニーズを読むのが大変難しい。
○料金設定について,市の駐輪場では都心部も周辺部でも同じ料金となっており,臨機応変ではない。ニーズに合った料金体系,利用形態に応じた料金体系,近隣の民間駐輪場の料金も参考にしながら考えていきたい。無料の駐輪場は丹波橋や藤森にあるが,有料化を図って,ニーズに合った台数を確保していきたい。丹波橋は現在250台の無料駐輪場であるが,最終的に500台くらいを整備したい。管理の行き届いた有料駐輪場を整備していきたい。京阪七条や東福寺の駐輪場も同じ。
○四条の駐輪場整備については,緑地帯に作るということで地域からの反対があった。これに対しては,地元の住民に反対者を説得してもらい,地元の団体から要望書をあげてもらった。丹波橋についても地元の団体から要望書をいただいている。これからは要望書をいただいたところから駐輪場整備を行っていく。京都市がやらせてくださいというのではなく,地元の要望を受けて,地元と一緒に放置自転車対策に取り組んでいきたい。区役所が前面に出て地域の実情に応じた取組ができればよい。
○行政の立場を聞いていると,駐輪場は無料がよいという意見も多い
○100円,200円でも駐輪代を払いたくないので,今までは放置もしていた。放置をしていると盗まれたり,傷つけられたりするので,お金を払って預けることで,傷をつけられず守りますというプラスのイメージの発想の転換が必要である。
○90分無料などとしているのは,地域への貢献で大変よい。有料の場合利用に戸惑う。1時間無料ならきびしいが,2時間無料なら利用する。
○料金体系を短時間無料にしているのはニーズに合わせているのですばらしい。原付も使っているが,違反をとられるので駐輪場に停めている。無料のほうがありがたいが,撤去がきびしくなれば駐輪場に停めたほうがよい。
○原付も利用しているが,市街地には停めるところが少ない。原付の駐輪場を整備してもらうのはありがたい。原付の駐輪ならお金を払ってもよいかなと思うが,自転車だと払う気にならない。
○JR西大路駅前の駐輪場整備では,ワコールなどが駅前のイメージと企業イメージを結びつけて,企業が積極的に取り組んでいた。京阪の次の展開として,駅周辺の商業施設との連携で,店や駐輪場がピタパで決済でき,駐輪料金がただになるなどのインセンティブが与えられるなど,いろんな展開へのきっかけとして駐輪場整備をされるならすばらしい。
○きれいに整備された写真をご紹介いただいたが,三条通北側の歩道は車いすが通れないほどひどい状況であり,四条通は自転車通行不可である。三条,四条,出町などの駐輪場整備に当たっては,何らかの迷惑駐輪の統計調査などされたのか。
○いろいろな種類の駐輪場があり,駅前に大型駐輪場,街中に簡易駐輪場など
○四条も三条も焼け石に水ということはよくわかっている。成功すれば,自動車のコインパーキングをしている人などもこれもよいなと思ってもらえるかもしれない。焼け石に水でもとにかく1回やってみないと始まらない。必要台数が全然足りないのはわかっている。四条でもラックの隙間に停めてるのもあり,三条に整備したが流れてこないということもある。これをゴールと思ってないし,まず出来ることから始めている。ちょっとずつ階段を上っていくうちのまだ2〜3段である。
○京阪でこんなに駐輪場整備がされているということは知らなかった。京都は全国のメディアから自転車文化が発達している街であると思われている。もっとメディアを活用して発表していったらよいのでは。駐輪場については,料金が高くても安全に駐輪したいので設置してもらえるとありがたい。
○京都の外から来た人から見ると,放置自転車の多さにびっくりする。マナーが悪いとか,違法駐輪が多いということで,街のイメージダウンである。
○街中の自動車の総量の問題は難しいが,自転車についてもどのくらい街中で使えるのか議論する必要がある。

第6回ダイジェスト(1)

1 プレゼンテーション 
「フランス型自転車共有システムの提案!」
丸山 誠吾・森 広(立命館大学政策科学部2年)

・パリ市で導入されている自転車共有システム「ヴェリブ」について,システムやレンタル方法の説明とフランスと日本の交通事情の違い,京都市に導入する際の課題,解決方法を考えていく。
・ヴェリブとは自転車を意味するヴェロと自由を意味するイブの造語。
・市民の交通手段として導入された。
・背景として渋滞問題が深刻化。パリ市長が2020年までに自動車交通量を40%縮小することを目標に掲げた政策のひとつ。
・2つの大きな政策として,バス,タクシー専用レーンの設置とLRT(路面電車)の敷設がある。
・もうひとつの小さな政策で,パーソナル・トランジットとして自転車政策がある。
・自転車政策で2つの大きな目標として,自転車専用道の総延長500kmを2010年までに達成する。そしてもうひとつはヴェリブを導入する。
・ヴェリブの特徴として,24時間年中無休で利用可能,セルフレンタル,市内に多数あるどのステーションでも返却可能。
・ヴェリブのレンタル方法は,セルフレンタルで路上のステーションにて機械操作のみでレンタル可能。年間パスはもっと手軽で,イコカやスィーカのようにタッチするだけでよい。支払いはカード決済である。
・料金は登録料と利用料で,利用料は30分無料である。1時間越えるごとに上っていくのは,回転率を上げるためである。カード決済にしているのは盗難防止である。既存のサイクリング向けレンタサイクルと住み分けがされている。
・24時間利用可能なので,終電後の利用やストライキ時には通常の3倍の利用がある。
・公共交通の一形態と考えられている。バスで補えない時間,場所がサポートできる。京都でもバスが終わった後,観光シーズンなどに利用できるのではないか。
・特徴のひとつでどのステーションでも返却可能である。人口,商業施設,地形などを総合的に分析してステーションを配置。250m間隔で総数1451箇所。自転車の総数は,パリ市人口の1%で20600台。返却が多いところ少ないところを確認して自転車を再配置している。
・運営に関しては,広告代理店のJCドゥコー社が行っている。市内の屋外広告物の掲載料を得る代わりに,維持管理を行っている。修理が重要で,いたずらや落書きがあるので,スタッフが巡回して修理を行っている。パリ市の負担はなく,ヴェリブの利用料は修理費など維持管理に利用されている。
・パリ市での効果として,パリ市人口の10%,22万人が年間会員となっている。自転車利用の促進につながった。個人所有の自転車も増えている。店舗や住宅街でも公共交通として認識されているので,アピールすることとなり,商店街の活性化にもつながった。公共交通への乗換えが進み,自動車の台数の減少,渋滞が緩和されることになった。
・日仏の違いとして,京都では既に市民の交通手段として定着しているが,パリでは新しい取組という意識である。台数も京都では個人所有が多くあるが,パリでは普及の途上である。京都では歩道や車道を自転車が走っているが,パリでは車両として意識されており,歩道を走ることは禁止されている。一方通行道路もある。
・パリではベロタクや自転車を利用した宅配など様々に自転車が利用されている。自転車の専用レーンや専用信号もある。京都では保有台数も多くより普及しているにもかかわらず,交通手段としてはフランスのほうが有効活用されている。京都も走行環境をしっかりして,交通手段としてしっかりとした地位にするべきではないか。
・ヴェリブを京都市に導入するに当たっての課題,解決策について,ヴェリブ導入によって期待されることは,公共交通へのシフトと放置自転車削減である。公共交通へのシフトについては,ヴェリブが成功すれば公共交通のつなぎ目として利用することになり,公共交通の利用が便利になる。そうすれば脱クルマ社会の構築が期待できる。放置自転車の削減については,個人の保有台数が多いため,単純に考えると全体の自転車の数が増加して,ほんとに放置自転車の削減につながるかということが考えられる。
京都市に導入する際の課題点として,駐輪問題に関して,パリ市では個人の自転車保有台数が少なく,放置自転車も少ないため,既存の自転車に関する課題は少ないが,京都市では個人の保有台数が多く,放置自転車も多いため,既存の自転車とヴェリブの共存は大きな課題となる。
・2つ目の課題として,ステーション設置場所の不足である。京都市は細い道路が多いのでステーションの設置が難しい。
・以上の課題を踏まえて,ヴェリブ導入に向けて何をすればよいか。ヴェリブ導入と同時に違法駐輪問題を考えていく必要がある。
・ヴェリブ導入による違法駐輪の解消法として,違法駐輪が集中しているところにステーションを設置する。違法駐輪が削減されると同時に規則正しく自転車が並べられ,景観もよくなる。しかし,これだけでは違法駐輪は減少しない。放置自転車がある場所は,自転車利用者の目的地であり,その場所のみ改善することになる。出発地の家の近くにもヴェリブのステーションが必要。探さないでも見つかるように大々的にステーションを設置し,法的規制を強化すれば,違法駐輪で罰を受けるよりヴェリブを利用しようというひとが増える
京都市では細い路地が多く,ステーションの設置をどうするか。ステーションの設置方法として,
1 空き家をステーション化する。道路上に場所をとらない。
2 店舗の駐車場の一部をステーション化する。ヴェリブのステーションの広告
によって宣伝効果があり,売上が伸びる。
3 コンビニの駐車場をステーションとして利用する。24時間営業のところで
は明るくて安全でもある。
4 コインパークのステーション化。店舗,事業所,住宅などがコインパークに転換されている。コインパークの土地は零細であるため,逆に店舗などには転換されていない。コインパークの有効な土地利用対策が必要である。コインパークの一部をヴェリブのステーションにすれば有効な土地利用が図れる。
・ヴェリブ導入で期待されること,公共交通へのシフト,放置自転車の削減,商業の発展など。
・自動車が多い場所では歩行者が少なく,歩行者が多い場所では自動車が少ない。
ミュンヘン市の事例,1963年以降都市開発でモール化が進んだ。モール化によって歩行者が増加し快適に歩行できるようになり,自動車が減少した。店舗の売上も増加している。
・自転車と歩行者の数でも,自転車が多い場所では歩行者が減少する傾向がある。自転車専用道を整備すればこの差は縮まる。パリ市では自転車専用レーンがあり,歩行者が安全に歩行できる。
京都市での烏丸通の事例では,道路に2輪の走行スペースの表示があり整備されているが,車が駐車していることもあり,自転車が安全,快適に走行できていない。堀川通では,歩道に赤く塗って色分けされているが,これに従って走行している人はほとんどなく無意味である。京都市では自転車専用レーンの整備はまだまだ進んでいない。
・自転車専用レーンの整備は車道の一部の削減となり,コインパークや駐車場のステーション化は駐車スペースの削減となるので,自動車の減少が期待でき,公共交通の利用,自転車,歩行者が増加する効果が期待できる。商業の発展にもつながる。
・自転車専用レーンなど環境整備をして,ヴェリブを導入することで,自動車の削減になり,商業にもよい影響がある。
・パリ市では自動車からヴェリブを含めた公共交通へのシフトが図られ,効果も挙げている。京都市でも自転車からヴェリブへのシフトと同時に,個人の自転車への対応もしっかり行い,総合的な交通政策の中でヴェリブを導入すれば成功するのではないか。
 
2 コアメンバーからの意見・提案[その1]
○門川市長がパリでヴェリブを体験してきた。パリと京都の都市構造や自転車の置かれた状況も違いがあるので,ストレートに導入できるものではないという感想を言っておられた。
○日本で自転車を共有することが根付くか,根付かせてよいのかどうか。
 道具を自分で持って,愛着を持って使うことと,誰のものでもないものを道具として使うことは文化的に違う。京都の伝統文化やものに対する人の接し方などから,京都にふさわしいものであるか。自転車の共有がいいものかどうか。
○都市構造について,パリは都心部・旧市街で食住混在が進んでいる。どこででも自転車の集中や交通が均等に発生する。京都では例えば,衣笠で毎日どのくらい交通が発生するか。移動の距離はどうか,ヴェリブで対応できるのか,運用上の問題もある。
○自転車で移動する距離を短くする,時間的に短くする,トリップ数を減らすなど街の構造を変える長期的なアプローチもある。京都の街の形をどうしていくのか。
○コミュニティサイクルの動きとして,自転車にマイクロコンピュータを入れて,どこからどこまで動いたか把握できる。パリでは地元利用40%,観光利用35%で地元,観光ともに広く使われている。
○世界中でコミュニティサイクルは行われているが,成功している事例が全くないなか,ヴェリブやスマートバイクが成功しているのは,クレジット決済としていることである。失敗している例は,貸し出しと返却が限られた場所であると,適正なところに片付けないとか,盗む人がいるという弱点がある。ヴェリブやスマートバイクはクレジット決済なので,自転車をなくせば請求がくる仕組みになっている。京都に導入されれば,通勤,通学に大いに使われるだろう。
○パリでのコミュニティサイクルの考えは1905年に始まっている。当時パリの自転車道路は60km程度であった。フランスはストライキの多い国柄で,ストライキのときに,公共交通利用者が自動車を利用し,そのたびに大渋滞が引き起こされた。コミュニティサイクルは環境対策というより自動車対策として始まった。見習うべき点,京都に導入されてもよいのではという点もある。
○走行環境,インフラ整備について,自転車専用道が95年には60km,今や400km,2010年には500kmに延ばそうとしている。安全快適な走行環境を作ろうとしている。日本でも導入するとなるとその辺の目標が重要である。
○個人の自転車所有が根付いているところにヴェリブを導入するとなると,個人の自転車の対応をしっかりと行わなければならないというのは,具体的にどうするかが課題となる。自動車からヴェリブを含めての公共交通へのシフトについては,総論として自動車の交通量をいかに少なくするか,道路空間の再配分を行っていくべきか。パリでのきっかけが公共交通のストライキということであるが,日本ではストライキが少ない。
○自動車の交通量を抑制するというコンセンサスがないと進められないかもしれない。交通全体の問題である。場所の問題としては,提案以外にも公共駐輪場や民間駐輪場などもある。
京都市の駐輪場を拠点にということであるが,京都市の駐輪場は66箇所,民間も含めると91箇所,そのうち45箇所が有人管理であり,活用していくことができないか。国からの補助金で建設した駐輪場は,駐輪場以外に使うのは難しい。
○国内の他都市の事例は調査しているが,岐阜では収入300万円に対し支出が900万円,平塚では収入900万円に対し支出1500万円で収支が逆転しており,一番の課題である。自転車を購入するにも安物ではなく,6万円くらいのものでないとすぐに潰れてしまう。
○MCドゥコーはバス停の看板で収益を上げているが,特異な契約方式ができるのかどうか検討しなければならない。
○観光地では,どのような駐輪場があるか,放置自転車が出てくると新たな課題となる。京都らしいレンタサイクルの運営方針を検討する必要がある。
京都市の自転車歩行者道は500km,段差等で区分された自転車道は41kmである。
○パリと日本の共通点は観光都市であること。自治体がコミュニティサイクルをするなら赤字覚悟で行うことになる。京都市では観光者向けにして,採算を挙げるほうがよい。セグメントを考えるなら,地域で実験的にコミュニティサイクルをやってみるとよい。
○だれがどこで借りてどこで返したかは,わかるようにする必要がある。そうでなければ,今までのコミュニティサイクルと同じことになってしまう。どういう形でやるか。
○京都とパリの自転車の位置付けの違いを踏まえて,ヴェリブを導入すべきかどうか進めていくべきである。
○まず駐輪場不足が決定的であるから整備しなければならない。自転車を置く場所としてはヴェリブも同じ場所であるから,ヴェリブの展開も念頭において駐輪場を整備すればよいが,駐輪場の整備が進んでから,試験的にヴェリブを導入してみて,使ってもらえるか検証する,というのが現実的である。
○パリ市では,絶対に使ってもらえるという確信と責任を広告代理店が負って行ったが,京都でそれだけのリスク,責任を負う企業はない。
○ヴェリブ導入で放置自転車を減らすことと,京都市内全体での自転車数を減らすことが出来ればよい。阪急西院駅に自転車共有システムを行っているところがあり,立命館大生の中にも利用者がいる。京都市内の自転車の車両数をどうやって減らしていくか考えていくうえで,ヴェリブの共有システムは大事である。
○人の移動が多い都心部においては,人々が自転車を共有する,レンタサイクルが便利であるという意識を持つところまでたどり着くのが課題であるか。
○パリの例がお手本であるとは思わないが,京都でも何かやっていかなければならない。実験的に行政なり民間で小さなところから徐々にやっていく必要があるのでは。

第6回セッション、今日開催です

ご案内が遅くなってしまいました。
第6回セッション、本日、11月25日(火)午後2時半〜4時半 開催します。
今日のプレゼンターは、以下の通りです。お気軽に参加下さい!

■第6回セッション
1)「フランス型自転車共有システムの提案!」(立命館大学政策科学部高村研究室」
2)「駅前駐輪場整備と鉄道事業者の役割」(京阪電気鉄道株式会社 鉄道企画部課長 前田 勝)