第3回セッションダイジェスト

1 プレゼンテーション ?
「会社経営者&自転車イベント主催者から見た京都の自転車環境改善」
近藤 淳也(株式会社はてな代表取締役
        
・ プレゼンテーションの内容
1 自転車道を走行帯として作るときの構造について
2 自転車の通勤利用の促進について
3 自転車のスポーツでの利用促進について

・ 自己紹介
      株式会社はてな代表取締役 三重県出身 94年に京都大学入学
  京都で有限会社はてな設立 その後東京,アメリカで会社設立
  インターネットのサービス 年間1千万人が登録
  従業員40名そのうち京都の事務所には25名
  大学ではサイクリング部・自転車競技
  ツール・ド・信州の創立&主催者
  自転車レースのカメラマン経験
  日本・世界のあちこちを自転車で走る。アメリカを西から東へ横断も。
  自転車競技インカレで5位 ツール・ド・北海道,国体にも出場

・ ツール・ド・信州
ツール・ド・フランスのようなことが日本でやりたい。
日本国内のどのレースよりも厳しく険しいコースになっている。

・ 今日の前提として5万円以上の自転車に乗る人の視点から提案したい。
 ある程度高級な自転車に乗る人の視点からの提案。
・ 自転車道の構造についての提案
自転車道を作るなら歩道と同じ高さ,向きを一方通行にしてほしい。
・2001年に国土交通省パブコメを募集した時に応募した提案内容
自転車道を設置する場合は車道と同じ高さにする。
  自転車専用道ができない場合は車道の一部として整備する。
 30キロ走行を想定した設計にする。
 交差点のごとの段差をなくす。
 自転車道は道路の両側に設置し,車と同じく一方通行にする。

・自転車利用の促進を考えたときに,通勤,通学で日常的に利用するために,やはり自転車に乗るほうがよいと思うような環境が必要。歩行者にも迷惑を掛けずに走れる道路構造が必要。
スポーツとして乗っているときは車道を走るが,危険で不便なことも多い。安全上からも自転車道の整備が必要である。
・自転車の通勤利用の促進について
駐輪場の整備,オフィスビルに駐輪場設置を促す仕組み,オフィスビルに自
転車を持ち込めるようなガイドラインがあればいい。

・会社では・・・
 自転車通勤を勧めている。自転車通勤での通勤手当を月2万円支給。駐輪場の手配もしている。通勤の時間も早く,効率的,健康にもよく,社員同士の夕食会も増えて,コミュニケーションも図れる。
・課題
自社の駐輪場確保が困難。オフィスには持ち込めない。ビルの駐輪スペースも少ない。近くの駐輪場を分散して駐輪している。寺町駐輪場からオフィスまでは500メートルくらいあり,ドアtoドアのメリットが生かせない。いざ自転車を使おうとしても大変である。
      他社のオフィスに自転車で行っても,駐輪場がないと言われることもある。駐輪場の整備は大事である。オフィスビルには一定の割合で駐輪場を設けるなどの決まりなどがあればよい。オフィスビルへも荷物の台車ならエレベーターに乗っているのに,自転車は持ち込めない。自転車も乗れるようにルールを作り,共存できるようにガイドラインがあるとよい。

・スポーツとしての自転車利用の促進
京都市内で大規模な自転車レースイベントをしてはどうか。
 マナーについてトップクラスの選手などの影響が大きいのではないか。プロ野球選手やツール・ド・フランスで活躍する選手の影響力は大きい。アメリカで自転車の選手が活躍するだけで,自転車の通行について法律ができてしまうくらいにトップ選手の影響は大きい。
 京都は駅伝が盛んである。ランニングのマナーもトップ選手が活躍することで全体のモラルが向上する。

・トップアスリートの役割
 自転車復権のシンボルになる。自転車のスポーツ利用を促進することで,全体的な自転車利用のモラルの向上につながる。
・大規模な自転車レースイベントを開催するとおもしろい。
      みんなに見てもらうことで憧れの対象となる。イベントは継続して行うことで文化となり,トップ選手が出てくると,自転車の全体的な底上げとなる。

     
2 コアメンバーからの意見・提案[その1]
○自転車は車という認識。歩行者と同じところを通行してはいけない。
○自動車も人が乗り降りする。歩道と車道の間に自転車道ができたとしても,人が横断することになる。歩行者は優先されるべきであるが,そこでどんな工夫ができるかが大きな課題である。これが解決されたらすぐにでもできる。
○大学のサイクリング部では新入部員に走り方講習をする。バスが追い抜いたら待つということを教えているが,バス,タクシーのマナーもよくない。
○停車している車が無造作にドアを開ける。特に助手席とか後ろ座席のドアはいつ開くかわからない。車のマナーも問題である。お互いの安全をどう確保するのか,マナーを文化として作っていかないといけない。
○自転車の走行スピードを時速30キロに想定すると自転車道の整備は必要となる。
○日本人の90%は1万円弱で時速15〜17キロくらいの自転車に乗っている。遅い自転車が車道を走るのは危険である。自転車のスピードの設定で車道を走るのか歩道を走るのか考えることになるが,幹線道路であれ,街中であれ,左側を走る車両のひとつとして考えればよい。
○自転車利用をこれから促進していきたい。促進する余地として通勤,通学での利用がある。3キロ,5キロと離れた学校などへ自転車利用をするとなると,平均時速は上ってくる。
○4月から自転車政策課として走行環境整備にも取り組むこととなった。現在は,御池通五条通など広い道路で歩道上に自転車レーンがあるが,見にくく,衝突なども起きている。しかし,自転車の走行を車道にもっていくと自転車利用者にとって危険でもある。自転車のスピード想定が30キロとか17キロなど出ているが,快適に走れる環境について皆さんのご意見を聞かせていただきたい。
○2名の従業員の自転車通勤には会社で駐輪場を確保していた。ただ錦市場は自転車が通れないので,積極的に自転車通勤を推奨していたわけではない。
○20キロ,30キロで走るという想定で,自転車を軽車両とみなして自転車道を整備していくと,自転車そのものが,庶民から遠いものになっていくのではないか,という一面もあるのではないか。
○エレベータの使用について台車と自転車が同じというイメージはない。自転車は雨が降ったりすると泥が着いたりして,あまり広くないエレベータだと壁が汚れたりでメンテナンスが大変である。
○自転車のスピードが30キロという想定やレースについては,男性的でおもしろいと思うが,女性からすると,シェイプアップにはなるがあまり何キロも走ると足がムキムキになるとか,スカートでは乗れないとか,気軽に乗るということから離れる。
○自転車は車道を走るということについては,子供を自転車に乗せていたり,荷物が多かったりすると,やはり心理的に歩道を走りたくなる。
○オフィスの駐輪場については,屋上に駐輪場ができればよいと思うが,エレベータの問題をクリアする必要がある。