第4回セッションのダイジェスト(2)

「新しい自転車の使い方を創造する仕組み」
山田 章博 氏(有限会社市民空間きょうと代表)

・ 自己紹介
  大阪・泉州育ち,大学から京都在住。まちづくり・都市計画が仕事。
  自転車のロードレースの草レースに参加。
  COP3でグリーンマップのデザイン。
  アジェンダ21フォーラムの交通ワーキンググループ,歩いて暮らせるまちづくり推進会議参加。
・ 自転車についてのワーキンググループで実験をたくさん行った。2000年から3年間,まちなかに駐輪場を作ってはどうかという実験を行った。富小路六角の駐輪場がそれにつながっている。
・ 生祥公園前のコインパーキングを借りて駐輪場設置の実験
   放置自転車が一切なくなった。
・ 嵐山でのレンタサイクルの実験
  嵐山で借りて嵐山以外で返却できるようにする。返却が一番多かったのは四条大宮であった。
・ 都市型レンタサイクルの実験
  日常で自転車を利用する人の行動として,JR二条駅で借りて,四条烏丸で返す人が多かった。
・ 歩いて楽しいまちなか戦略の社会実験で,6日間,11箇所に駐輪場設置を行い,アンケート調査も行った。高島屋の民間駐車場に作った駐輪場はあっという間にいっぱいになるが,永松記念館に作った駐輪所はあまり利用がなく,50m〜100mの違いで利用率が全然違ってくる。まちなかの駐輪場は一律150円とされているが,料金と需要と供給を考える必要がある。
・ 車が増えたことで,渋滞が起こる。市電が廃止されたが,渋滞でバスは不便。自転車利用が増える,自転車の価格が安くなる。車を減らす取組で自転車利用が増える。マナーの意識も低下する。システマティックに考えていく必要がある。自転車がこれから増えていくということを前提に仕組みづくりをする必要がある。
・ 4つの提案
   1 自転車が「走る」「止まる」ことを前提にした街路づくり
   2 路上駐輪を抑制し,分散させる。駐輪空間と制度のデザイン
   3 公共交通(バス)の利用を促す仕組み
   4 自転車にもIDカードを
・ 細街路では
  自転車も一方通行にする。
  車と自転車と歩行者は同等の権利を持つ。ゆっくり走る自転車の優先帯を設置する。軒下空間,路側帯は好きなように使える。何を置くかはそこの人が責任を持つ。
  停止線も現状の位置では意味がない。前に出して視認性を高める。
  歩行者のマナーとは,車とか自転車を阻止する勇気をもつこと。
・ 大通りでは全ての大通りには2輪レーンを設置すべき。歩道は自転車を通さない。高齢者や子どもは歩道を走ってよいが,歩行者と同じようなスピードで走る。
・ 大通りの交差点
  横断歩道の自転車横断帯は,道交法上,自転車は通行する義務がある。これが非常に危険である。
・ 自転車は直接目的の場所へ行けるのが基本。ドアtoドア。これができないような
駐輪場はおかしい。少数の自転車であれば,沿道サービス帯で対応できるが,長時間駐輪は問題となる。
 長時間駐輪する人にはパスを発行する。どこの駐輪場,駐輪帯でも停めることができる。自転車にはICチップのステッカーを貼り付ける。
撤去の権限は地域に与えて,撤去した自転車は地域で保管する。
・ 雨の日の傘さし自転車は危険。雨の日にはパスでバスが乗れるようにする。
・ ルール,マナー
  身分証明証を携行する。IDカードには減点,加点などがわかるようにする。
・ このセッションではいろいろと提案がでる。脈絡のあるものにまとめたい。アプローチの仕方も個々に異なる。共通点はまとめていく。やわらかい政策パッケージにしたい。セッションが一通り終われば,ロードワークを行って,提案が有効性のあるものか検証したい。
・ 2001年の都心のエコ交通プランを作った。今見ても古くない。四条通の狭い歩道に歩行者が押し込められている。ここには自転車が入っていない。自転車の扱いをまとめ切れなかった。

■コアメンバーからの意見・提案[その2]
○10年経っての現状はいい方向に向かっているか。違法駐輪が改善したか。
○10年で自転車も増えているし,迷惑な放置自転車も増えている。取組も進んでいるが実態に追いついていない。木屋町の駐輪場も地元と行政の協力でできた。しかし,その方法論や制度が一般化していない。ノウハウを蓄積する仕組みが整えばよい。環境が整えば,自転車利用も増える。
○IDカードに駐輪パスの決済機能を付けて,ビジネスモデルとすることができる。撤去をしても誰が捨てたかわからず,捨てたもの勝ちである。IDカードの導入は行政的には難しいのか。
○背番号制のようなものになって,個人のプライバシーや発行や取扱をどうするかという問題が生じる。現実的には困難。
○実際に行うには条例などの根拠は必要となるが,自動車でできているのだから,自転車でもできるのでは。
○ICチップを埋め込んで,撤去の車が来たときに自転車をスキャンすると,所有者に撤去しますという連絡がいくようにする。
○防犯登録は5年で切れる。自転車は車に比べてルーズな扱いである。防犯登録も知らない間に切れて,自分で管理できなかったりする。あまり機能していない。
○防犯登録は名前のとおり,盗まれるのを防ぐためのシステムである。現在あるから利用しているのかもしれないが,違法駐輪に利用するならバージョンを変えるなどが必要。違法駐輪のためのシステムは現在全くないのが現状である。
○大学で自転車の登録をしている。駐輪スペースの把握目的と周辺に駐輪しないようにする目的がある。自治会などでもできるシステムであると思う。
○沿道サービス帯にベンチや看板を置くのはよいが,駐輪場にすると寺町四条のようなことになるのではないか。
○沿道サービス帯をどうするかは,その家の人が権限を持っている。駐輪したい人はその家の人にお願いして駐輪する。そうでないのは即撤去。撤去は町内会で行い,近くの廃校のグランドにでも保管する。
○商売の視点からすると,歩行者も車も邪魔であるが,全体の共存は難しい。2〜3軒先の店に行くのに,ちょっと停めさせてほしいというのであればいいよと言うし,そこでコミュニケーションも生まれる。
○ICカードで管理されなければならなくなる前に,自転車環境がよくなればよいが,無理なら押さえつけていくしかない。プレゼンは愛をテーマにしようと思っているが,これまでの意見を聴いていて,愛では無理かと思うようになってきた。
○レンタサイクルの顧客には違法・迷惑駐輪はしないように言っている。市の駐輪場利用を勧めている。利用者の声として,町中には駐輪場がない,2時間探したというのもある。行きたい店に駐輪場がない場合は,店に聞くように言っている。レンタサイクルも増えてくると思うが,免許や講習,防犯登録の改良など新しいシステムが必要である。