第5回のダイジェスト(1)

■プレゼンテーション 

「配達屋の視点から見た自転車事情」
  藤井 輝男(錦市場 津之喜酒舗 代表取締役
・ 1788年,220年前に創業の錦市場の酒屋で8代目。配達の機動力はまぎれもなく自転車である。
・ 得意先は主に,木屋町祇園エリアであるが,以前は1軒配達に行っては戻ってまた行くという,何回も往復をしていたが,今では得意先も増えてルート配達をしなければ間に合わなくなっている。
・ ライトニングという雑誌のビンテージ特集で,今使っている自転車FUJI HOPE号が紹介されることになった。2台がカスタマイズされて,ビールケース3ケースとその上に雑瓶を載せて運ぶことでき,軽トラックに優るとも劣らない機動力が可能になった。
・ 使い方としては,通勤でも趣味でもなく,商売道具として,自転車がないと商売が成り立たない。毎日使っており,道具として大事にしている。
・ 錦からゼストへ来るルートは,全て自転車通行禁止となっている。押して歩かなければならない。前面投影面積は押して歩くほうが倍になるし,押すよりまたがって足こぎしたほうが安全性が高い。
・センターオブ田の字は便利なようで,自転車は非常に不便である。FUJI HOPE号の利便性,機動力がフルに発揮できない。
・街中で商売をする者にとっては,なんとか四条通を自転車が通れるようにしたい。どう解決したらよいかを皆さんと一緒に考えていきたい。 
・ 解決策としては,ライセンス制しかない。自転車道などは実現するにも先のことになるし,バスレーンのことなど問題もいろいろある。
・ライセンスの取得資格としては,田の字地区で商売をしていること,講習を受けること,お金を払うこと,マナーを徹底することなどがあってもよい。
・HOPE号のよいところは,一方通行でも逆走できるし,何よりも非化石燃料である。商売では最大限生かしている。
・街に安物の自転車が多すぎる。放置自転車の重要な原因である。HOPE号は絶対に放置しない。自転車に対して皆さんが持つ価値が低い。自転車に愛情を持てば放置しない。自転車に愛情持ちましょう,安売りしないようにしましょう,いい自転車に乗りましょうというキャンペーンなどすればよい。
・自転車は法的に軽車両。車両だから四条通で通行できないところもある。歩行者と自転車は根本的に共存できないのではないか。京都は道が狭いから,歩行者専用,自転車専用などの道路は作れない。
・ちょっと止め,長時間止め,放置という3つの駐輪時間で,ちょっと止めは構わない。ダイエーの前にも駐輪場があって1時間いくらというふうになっている。買い物に行けば,10分程度停めるだけで,少しでも安いものを買おうとするのに,駐輪で100円とかとられるのは許せない。30分は無料にして,それを超えると500円とか高い金額がとられるなどのシステムにすればよい。
・センターオブ田の字地区に住んでいるという特権意識みたいなもので,中京区住民シールを作って,短時間なら路上に停めてよいことにする。すぐに移動するからというアピールにもなる。いくらかのお金がかかることと,エレガントな駐輪マナーを身に着けることという条件でシールを発行するという制度をつくればよい。
・センターオブ田の字地区をいっそ,すべて自転車の乗り入れを禁止してはどうか。しかしその場合でも,商売をしているとか,住んでいる人は乗り入れできるようにする。どうやって区別するかは難しいところではあるが。
・ぎびしい目で科罰をするとか,登録制にするなら規制が必要である。ICチップとかナンバーの登録などして放置している人をとことん追い詰めるような仕組み。

2 コアメンバーからの意見・提案[その1]
ロードプライシングについて,駐輪するときのコスト負担は行われてる。一番走りたい人,走る必要がある人に優先的に課金するということは考えられる。
○センターオブ田の字地区は密度が高いので自転車にとっては歩行者が邪魔となる。
○駐輪場確保と走行環境がこのセッションの大きなテーマとなっているが,自転車政策には自動車に我慢をしてもらうしかない。自動車に半分だけ我慢してもらうということは不可能なので,全部我慢してもらう必要がある。自動車道1本で自転車道が4本くらいできる。一番端を駐輪場にして,真ん中を早く走る自転車の道路にすればよいのではないか。
○荷物を山ほど積んで走る人,車いす代わりに乗っている人などいろんな自転車の人がいて,自転車同士でも共存しなければならない。歩行者との共存も歩行者の密度が低いところでしかできない。歩行者と自転車を分けるなら車道をいじる必要がある。その場合でもバスをどうするのかということは最後まで問題となる。
○普通は店の前まで自転車に乗ってこれる。ゼストでも自転車が走ってよいのではないか。アーケードの中でも,自転車に乗るのが悪いのではなくて,怪我をさせたりすることが悪い。もっとゆるやかに共存できる方法はある。
○市役所の前の歩道をスピードを出して自転車が走ってきて非常に怖い。しかしモラルとか愛があれば,専用のレーンなど必要はない。ゆるやかな共存というのが現実的にはベストである。
○愛でもってゆるやかな共存が実現しないなら,優先権を明確にする必要がある。歩道では自転車に優先権はない。車道の左端は自転車とバスに優先権,真ん中は車に優先権があるということを実際に路上で実現して,習慣になるまでやらなければならない。今がんばると次世代につながっていく。
○ライセンスに関して,自転車に乗るときの道徳的なマナーがない人が多いと思うので,教育する場が必要であると思う。
○街中には簡易の駐輪施設で無料,駅前には大きな駐輪場で有料でよい。錦市場は観光客には人気があり,どこに停めればよいかは聞かれる。観光の寺院などには最近駐輪エリアが作ってある。清水寺は清水観光駐車場に駐輪して,周辺の観光もできるが,二条城などは市営駐車場にもお金がかかり,二条城への入場にもお金がかかる。
○ハード整備は行政との協力が必要であるが,ソフト面としてライセンスは是非やってほしい。自動車免許でもゴールド免許になるとちょっとマナーの意識が変わる。ライセンスをすることによって,意識の高い人をほめてあげることができれば,マナーの良い人はさらに良くなるし,それをみていいなと思う人も増える。マナーの良い人をほめてあげるようなことができればよい。