第2回セッションのダイジェスト(2)

■「観光から見た京都の自転車環境」 
・自転車登録台数の推移
 モータリゼーションの急速な普及。1960年には1000万台→2007年には8000万台
 自転車はプラス500万〜1000万台の台数 2000年は9000万台

京都市(観光)交通政策の歴史
 1973年マイカー観光拒否宣言
 1978年市電全廃 このあたりから京都市の政策が狂ってきてきた。

・マイカー観光拒否宣言。マイカーでの来訪者には「快適で便利な観光は保障できない」
公共交通機関の利用を勧める。自転車道の整備・歩いて暮らせるまちの考え方→35年経ってもう一度見直そうというものである。

・自転車観光に関して
 レンタサイクルは昔からあった。
 京都は移動手段としての選択が少ないエリア。その中で自転車の使い方は大きく変わってきている。移動半径約3km→広域利用半径約10km、フットワークがよい。

・オリジナル自転車。「性能」「頑丈」「快適」「安全」

・入洛観光者の約50%が道路交通に不満を持っている。観光シーズンの京都駅のバス・タクシー待ちの大行列などや車の渋滞

・自転車観光の効果
 →交通渋滞回避、フットワーク、中距離移動に適す。交通対策、環境保全対策、健康促進対策、観光客の分散化、界隈経済の活性化、観光都市としての街づくりに大成功する

・自転車利用の問題点
 日本は自転車の価格が安い→使い捨て、駐輪問題につながる
 自転車問題は人災
 アンケート調査では 1走行環境 2駐輪環境 3案内表示 の順で課題

・駐輪場に関する活動
 京都仏教会、京都市駐車場公社、中心部商店街へのお願い

・駐輪の現状
 駐車場公社が観光駐車場に駐輪エリアを設けているが案内表示がない。とこに停めてよいのかわからない。街中では停めるところがない。駐車場公社で駐輪データを取ってもらいたい。

出町柳三条京阪など大きな駅では違法駐輪が多く、大きな駐輪場が必要

・ヨーロッパでは分散型で簡易駐輪器具が路上にある。→アムステルダム、ドイツ
日本では広島、つくばにある。京都では景観問題からいやがられる。
乱雑に放置されるよりはよい、またお金もあまりかからないので実施してほしい。

アムステルダムの大型駐輪場 4000台
自治体が建設して、民間が運営
駐輪場に自転車屋がある。レンタサイクルもある。3年後に黒字経営になった。

・走行問題 幅60cmや1m程度の歩道に自転車通行可の標識がある。
 烏丸通に2輪レーンがあるが、違法駐車があって自転車が自動車レーンにはみ出さなければならない。

・ヨーロッパの例
アムステルダム 歩行者レーン、自転車レーン、自動車レーンが分けられている。
ドイツトロイスベルグ 自動車道に強引に自転車レーンを作った。自転車は走りやすい、自動車はスピードダウンをしいられる。
コペンハーゲン 歩道、自転車レーン、バスレーン、自動車レーンが分か
れている。バスレーンが守られている。

・日本ではどうするか提案として、バスレーンを利用してはどうか。コペンハーゲンのバス運転手はプロだから問題ないとのこと。
 金沢での交通実験バスレーン利用 交通ルールを守る利用者が増えるなどの結果→本格実施へ
京都にもバスレーンがたくさんあるので利用してはどうか。

・自転車観光促進上の課題
走行環境、違法駐輪→自治体によるインフラ整備
これがクリアできればレンタサイクルなどを起爆剤としてさらなる観光都市になる。

■コアメンバーからの意見・提案[その2]
○金沢での事例が出たが、京都では市バスの運転手が反対するだろうし、バスレーン自体が専用レーンになっていない。
○自転車レーンを促進するために、交通の序列が必要。まず、身体障害者、歩行者、自転車、公共交通機関、商用車、最後に自家用車である。序列を認識する必要がある。
○自動車専用道路を烏丸通でという計画があった。違法駐車などで道がふさがってしまうなど問題はあるが、これはマナーの問題か物理的にクリアすべきなのか。
アステルダムの人から聞いた話だと、今の日本は25年前のアムステルダムと同じ。アムステルダムはどのように自転車先進都市になったか。それは駐車場を減らす、駐輪場を増やす、一方通行を増やすなど行った
○フランスでは大型レンタサイクルの普及など自転車利用が促進されている。違法駐車の罰金も高くなっている。日本もマイカーの交通序列を見直す必要がある。
○車道を1車線つぶして、自転車専用レーンにすれば、車の渋滞が起こるし、京都は車が走りにくいまちだということになる。大胆な発想も必要。
○自転車ユーザーとしては、1車線をつぶして、歩道半分自転車道半分とするのが理想である。
○供用できる道も必要。自転車でゆっくり走る人は、いきなり車道を走るのは怖い。
○段階的にいろんな実験をしていくことが必要であるし、最終的にどうあるかというイメージを持っておくことも必要。
○歩いている人の安全は絶対に必要であるし、スピードの速い自転車と歩いている人が同じところを一緒にというのは間違っている。どこを走ってもよいという道路交通法の改正は元にもどすべき。
○車道と歩道の間に自転車道を作るとしたら、公共交通機関と自転車はどっちが序列が上かが難しい。公共交通機関身体障害者も利用する。バス停留所は歩道に接している必要がある。自転車道がそこに割り込むのか。またはバスレーンの外に自転車道を作るのか。
○ヨーロッパは法を守る意識が強い。アムステルダムも25年かけて作り上げてきた。このプロセスが日本でも踏めるのか。これを京都から始めることはできる。
○自転車政策の3本柱 安全、取締、インフラ整備。公共交通と自転車の共存は確かに難しいが、ヨーロッパの例で、バスと自転車を共存させた場合、バス停の前後にバンフというコブを作って自転車の速度を落とさせるということをしている。
御池通のように道幅がひろいところにはラック式のコインパーキングを設けてはどうかと思う。
○レンタサイクル利用者なども駐輪場がどこにあるのかわからないし、町中いろんな場所に駐輪場を設けないといけない。レンタサイクルや自転車利用のニーズを高めるためにも必要である。
○駐輪場に自転車屋があるのはとても便利でよい。
○分散型の駐輪場で2段ラックにしても、上段にとめる人は少ないのではないか。簡易型の方がよいかもしれない。
御池通の自転車用のレーンが示されているが、あまり知られていない。色分けや表示などわかりやすいほうがよい。
○車道をつぶして自転車道にということであるが、そうなると車道がタクシーの客待ちなどであふれるかもしれない。共存ということであれば、タクシーの客待ち場所なども考えていく必要がある。
○全ての人が自転車に乗れるわけではないので、観光のまち京都として、どんな人にとっても来やすいまちにしていく必要がある。
ニューヨーク市長の例、落書きを徹底的に消すことで、落書きがなくなり、犯罪率も低下した。モデルとしてどこか2箇所くらいで徹底して実験を行い、効果が現れてくると一気に広まっていく。その中で出てきた意見を反映させていけばよい。アムステルダムの成功例も、どこかで突破口があったのではないか。